サンタへの祝福

サンタと天使が仲の良いことは
あまり知られていません

天使のルチアは
サンタになったばかりの子が
気になって仕方ないのです

なにかにつけちょっかいを出してきましたが
今日もうるさがられます

「いいって大丈夫 ちゃんとやれるって」

「なに おまえはいつも抜けているから
ほら、ちゃんと袋は持ったのか
なかは大丈夫か、点検はしたか」

「うるさいな、大丈夫だって
ちゃんとやれる、いろいろいうな」

「ああ、まてまて
最後に祝福をうけていけ」

そうして忙しそうにするサンタの子の後ろ頭に
ルチアは祝福のキスをしました

―― どうか風邪などひきませんように

「ああ、もう、はやくいかないと」

サンタの子も
照れ隠しにそういいながら
ふりはらえないのです

「帰ってきたらケーキがあるから
一緒にテレビを見ながら
お祝いしよう」

「いいよ、もう出ないと
わかった、トナカイが待ちわびてるからさ」

ルチアはすこしだけ心配そうに見送っています
サンタの子は後ろ頭がなんだかポカポカするなぁと思いながら
たくさん良いことがつまった白い袋を
うんしょ、と、ソリにつめこみました

「あ、ルチア」

「なんだ、わすれものか」

「あげる、これ、おれがつくった」

ぽんと、ほうられてきたのは
金色の五角形の星のかたちをしたお守りでした

「じゃ」

「ああ……ありがとう」

胸がいっぱいになって
ルチアが空を見たときにはもう
サンタの子はソリを
高く高く走らせていました

「メリークリスマス……おまえにも良いことがありますように」

小さくなっていく姿を見送りながら
ルチアは小さな声でお祈りをしました