ざぐん。

 
 


湿原に、雨が降り注ぐ

トオノ(とおくのの、と書くって言ってた、とおくののの意味がわかりない)が、ぽちっとつぶやく。雨に溶け込むように

「ソウチョウ、かえってきませんねぇ」

「なにを考えているトオノ」

「別に、なにも…」

らいよんになりたい"白仏"の毛をなでると、らいよんは右耳、とつぶやいた。
(らいよんになりたいといったので、らいよんとよんであげているのだ
でも僕ははくふつでもいいな、とおもうんだ

「らいよんはあれ、自分でかきなさいよねぇ」

トオノが少しこっちを見て、また目をそらした。ほほえんでいるねぇ。

「あんまりむちゃはするな、トオノ
時は全て、流れるままに、
逆らうことなど出来んのだよ


私が滅ぶのも、お前がそちらに渡るのも

決められたことだ」

「らいよんはうっせぇですねぇ」

トオノのほほに怒りがにじむ、ほんのすこし

トオノもらいよんも、よくわかりませんねぇ

もうすこし、話なんかしなければいいのにねぇ

「トーゥオノ」

「へんなおとでよばんでよ、なに」

トオノがちらっとぼくを見る

「トーオノはおれがまもってあげるからねぇ」

らいよんさんも、と言ったら
らいよんさんは笑った

「そうだな」

私も、おまえらを護ろう




人はいつから、人と神を一身化してしまったのか

人も自然の一部なのだから

その行動すら、自然の一部なんだよ

だから、逆らうことも、抵抗することも




それでいい



らいよんさんがベローってひとのかお舐めたので
とーのを呼ぶと、一緒にらいよんさんのおかををこしゃこしゃした


平気さ

たとえ、なにがあっても、

あなたがいるかぎり