玉
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絵
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耳
満足だし。
もう。
逢えたし。
泊まっていけよ、という、寝ぼけ眼の彼の声を振り払いながら、靴を履く。
帰らないと。
寒いし。
微熱がある。
そんな風に熱い頭は、半分思考を停止している。
泊まっていけって。
彼がコタツから出てきた。
遠いいんだろ。
そんなに遠くないよ。
笑って見せると、少し苦々しい顔をした。
もう、満足したから。
俺寝てたのに?
ん、ん。
逢えただけで嬉しいしさ。
「じゃあ」
そう言って振り返らずに早足でアパートを出た。
扉の閉まる音。
景色に耳を澄ますと、雪の音がした。
いいんだ。キスできたから。
もう、いいんだ。
目尻に熱い涙が溜まる。
振り返ると彼が走ってくる姿が見えた、何。ドテラで、なに、
「おまえさ、」
いきなり肩を掴まれて、びっくりしているのを尻目に、
ぜいぜいと息をつぐ。
「キス、して、逃げるなよ」
変なことに、変なことを、考えていた。
彼の耳が赤いことや、
雪がそこにあたって熔けることや、
彼の声を、薄耳で聞いていた、
僕の耳も、きっと赤かった。
SS付き
2006-01-24
19:33:30
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もう。
逢えたし。
泊まっていけよ、という、寝ぼけ眼の彼の声を振り払いながら、靴を履く。
帰らないと。
寒いし。
微熱がある。
そんな風に熱い頭は、半分思考を停止している。
泊まっていけって。
彼がコタツから出てきた。
遠いいんだろ。
そんなに遠くないよ。
笑って見せると、少し苦々しい顔をした。
もう、満足したから。
俺寝てたのに?
ん、ん。
逢えただけで嬉しいしさ。
「じゃあ」
そう言って振り返らずに早足でアパートを出た。
扉の閉まる音。
景色に耳を澄ますと、雪の音がした。
いいんだ。キスできたから。
もう、いいんだ。
目尻に熱い涙が溜まる。
振り返ると彼が走ってくる姿が見えた、何。ドテラで、なに、
「おまえさ、」
いきなり肩を掴まれて、びっくりしているのを尻目に、
ぜいぜいと息をつぐ。
「キス、して、逃げるなよ」
変なことに、変なことを、考えていた。
彼の耳が赤いことや、
雪がそこにあたって熔けることや、
彼の声を、薄耳で聞いていた、
僕の耳も、きっと赤かった。