とうとうと。

水が流れる音がする。

聞き耳をたてながら、窓を開ける
ぶわ、と、冷たい風。とても。


とても。


「どこいくの」

あいつが、てこてこと無邪気にあとをついてくる

もうちょっと近づいたら、
振り返って抱きしめてやろ

そう思っていたら、いきなり背中に鼻をおしつけられた

「なにす」

「いいにおい」

「はなみずつけんな」

「ひどぅい」

本当に寂しそうに、言う。

あいつの言葉はしっくりくる
いつも
とても
しずかに

「太刀、あいしとるよ」




照れたようにあいつが言った
たまに

ほんとうにたまに

呟くように、それでいてとっても照れながら
そういうことを言うんだ

笑っていたら、ひどぅい、と、またすねられた