キズハ



ふと思い立って
手でも握る?と言うと
大急ぎでキズハは首を振った
「要らない」
僕が勘違いしないように
「必要ない」
強くきっぱり、そう言った


キズハはスキンシップに弱い。
それは知っている。

以前、僕がからかって抱きしめたら
小さく悲鳴を上げてへたりこんでしまった

そのまま何分も立てないようだったので
僕らは――悪友とか僕は――大爆笑したものだ

小さく震えて、涙をためて
僕をみあげていたキズハを
よく覚えている


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