キズハ



内緒だけど
キズハの角を舐めたことがある
本当に内緒だけど。

夕暮れ、放課後の窓から
オレンジ色の日差しが
紫の影をつくっていた

キズハは居眠りしていて
安心しきったように眠っていた
以前、家で眠れないと
言っていたことを知っている

なんとなく舐めて
ぬるくて
なんの味もしなかった

キズハは
ちょっと顔をしかめて
小さな声で、ううんと言った

唇を放すと
安心したようにため息をついて
また寝息を立てていた

キズハ

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