とてもちいさな

おとがしている

羽音だ

あまりに

やさしい
羽音だった

友は、"たま"を持っていました
一度だけ願いが叶う、たまでした

これは、友の
話です


あい
http://boys.ahito.com/


この地下の羽音は
いくぶん

甘い

Aの話は
つまらないと
思います

Aは友の
恋人で

三日ぶりに
会った友は
少しやせたようでした

友の仕事は
たまを

友の父に
届けることでした

(今まで
友をすてていた
父が
友のたまを知り

”持ってこい”と

言ったのだそうです)

最初友は、Aにそれを話して
一緒に行ってもらおうと
したのだそうです

Aは、
恋人だと
思っていたから

あの時の
喜びが
一番
強かったって

父に会えるし
Aを紹介できるし
とても

はしゃいでたって

Aは
とても優しかったのだそうです

とても

それ、願いが叶うんだろう?



友は、Aにののしられながら

ずっとたまを守ってた

渡せと怒鳴るAから

ずっと守ってた

私に、依頼してきた時も

Aに殺されそうだから、って
言っていた

目に蒼くくっくり

あざが残っていた

:

:

:

友人は
想いをかんじると
体に
赤いイボが
でき

それは呪いで

いくばくかの、
とても小さなうずきで
とても

たまを使いたかったって

この体を直したかったって

「でも

あれは
もともと

ぼくのじゃないから


――…えんえん、なぁ
キスしてやるから

――…たまをよこせよ ほら


「他の望みはなんでも聞くけれど

これは
ぼくのものではない、から

だから


私は何でも屋をしていました

彼らの旅の途中で
ちょうどよく
仕事を探していました


友は、Aと喧嘩していた

そのさなかに
私に守護を
依頼したのです


Aがなぐったとき
友の顔には
やはり

イボが浮き出てた

私がAを怒鳴りつけて


ふるえた
肩が
いたいくらい

かなしかった

いえたらいいのに


長い旅の道のりで

とても長い道のりで

日々を過ごしながら


一度だけ
友は
私を誘いました

何も言わずに
ひきはなすと

ただ、
謝って
はなれました


私は不能者です

私は、一度だけ
たまをほしくなった

でも

「本当は
これを届ければ
もしかしたら


思っていた

届けてくれて
ありがとうとか

そんな、
言葉だけでいいって

違うか

僕を見れば
許してくれるんじゃないかって

そんなこと
ありえないのに

何をきたいしていたのか

なんで
ぼくは」


友は

三日、城に言っているうちに
少しやせたようでした


不能者だと
つげると
すこし

ほんとうに
少し

たまを

もつてが
ふるえてた


ふと、
告げてなかったと
きづいて

スキだと
いいました

一瞬のあと
かあっと
友の顔が赤くなって

一生懸命

隠して

震えて

だから、

キスをした

体のぬくもりに

全ては消えて

あまりの愛しさに

なんの咎もないことに

いまさら気づいて

ただ、心地よかった

なんのとがもないことに

気づいて

ただ

ただ

嬉しかった

ただ、

愛しかった。