キスするとみつるは少し泣きそうな顔をした
可愛くて、もっと抱きしめたくなる

みつると僕は血がつながっている
母が捨てた子供が僕で
母が愛した子供がみつるだ。

「みつる、母さん元気?」
ほほえみながら聞くと、みつるはもっと泣きそうな顔をする
ごめんね、でももっといじめたくて、
もっともっと僕を感じてほしくて

近づいて手を取ると
みつるは震えながらその手を放そうともせず、
ただじっと見ていた

「さむい……?」
「アゴ、家、来る……?」

みつるが怖がっている
なにが怖いのか
僕のこころか、僕の行動か

「行かないよ、君ら家族の、邪魔はしない」

そおっとまた口づけた
ぺろっと舐めると、みつるがびくっとした

「僕は家族じゃないから、みつるを愛しても、いいよね」

みつるが少し、顔を伏せた、
みつるの好きな人、僕は知ってる
少し背の高い、みつるの父に似たヒト

みつるも、母も、父も、僕を愛しはしない
それでも、少しだけ、望みを持って
少しだけ、絶望しながら

みつるにキスした


ごめんね、もう少し、ここにいさせて

みつる、僕が他の人を好きになるまで


家族を。求めなくなるまで