小さなアンプルが
ぷるぷる震えながら
そのラジオは
奇妙な言葉を
伝え続けている
の。ざ、たた、
かか、い、き
それを聞きながら
僕は、もらった小さな家の
部屋を掃除し続けている
いすを並べて
買ってきたテーブルクロスをしいて
お菓子と
茶葉を用意して……
看板にするつもりの
木の板に
クレヨンで描いた
「どなたさまでもどうぞ」
小さなアンプルのラジオが震える
…また、くるかも、しれないね
それからプツンと
音を立てて
電源が消える
…そうだね
僕は返事をする
奇妙なこのラジオは
とても奇妙な魔法がかかっている
どんなに違った命たちのことば
伝わるし
伝えられるように
してくれる
だから
喫茶店を
ひらくことにしたんだ…
どんなものでも
ゆっくりくつろげる
そんな風な場所を……