なんで、生きてきたか、わかる
あの苦しむしかない空間で あの傷つくしかない空間で あの 嫌われるしかない空間で なんで、僕が 死ななかったか、わかる
僕は、雪の日に生まれた。
この部屋は 幾分寒い気がする 隙間風は 昔より、和らいでいる 外に雪が降り 兄がそれを踏む音がする 先月初めに、この部屋に閉じ込められた「僕」は 最初から、この家の子供ではなかった。 生活道具は兄が持ってきてくれた 全てがそろい 全てが冷たいこの部屋で 手紙、書き続けた 読まれるはずのない手紙、 書き続けた
愛されることのない人生が 憎しみしかない人生が 人を恨み、憎み続ける人生が どんなものなのか
貴方にわかるの。
雪が降ってる。 きっと、兄はもうすぐ ここに来る。 どこにいっても 雪は同じに見えるのに なんで貴方と私は こんなに違うんだろう こんなに、違うんだろう
閉鎖された空間で織り成す音 雪と供に落ちる 世界の音の、物語