リーちゃん



カランコロン
もうすぐ暮れる夕闇に
下駄の音
カランコロン
リーちゃんの下駄は少し大きく
僕の下駄は少し小さい
びっこしゃっこの下駄しか
温泉宿にはおいてなかったのだ
リーちゃんは帰ったらみかんを食べよう
だのと言ってる

空を見ると
下の方が燃え立つほど赤いのに
上の方が済んだ黒いろをしていて
綺麗だった

彼は、
リーちゃんは
僕が好きだというけれど
僕はそんなリーちゃんを
ちょっと疑わしく思っている

リーちゃんは自分があんまり
正直なところ
あんまり好きじゃないんだと、
思ってる

そうじゃなきゃ、
僕に言わないだろう

僕たちお似合いだよね、
とか
僕たち結婚しようね
とかさ

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