スコーピオン



私が発言した直後から
思案にくれていた叔父は
会議中、ずっと無言で
白海は、というと
婚礼だのなんだの
そんなことはむしろどうでもいいことのように
斜め後ろの方で憮然としていて
目を白黒させているスコーピオンを
じろじろ人目もはばからずに見ていた。

そして
部屋に引き揚げる際に、
茫然としているスコーピオンに
「二度と逃げるな。
私はお前がこうしてもどるまで
許す気はなかったのだぞ」と
わけのわからないことを言い
ぷりぷりしているし
叔父は叔父で
「まぁ男色なんざ、珍しくない
なんとかなる」と
やけに、分かっているんだか
いないんだか、やけに陽気に言う、

スコーピオンは一晩中
私がいろいろしたから
疲れ果てていたし
その上、朝になってうとうとしていたら
私が縄をつけたまま
自分を会議にひっぱりだして
婚礼だのいったのも
かなり衝撃だったらしい
その後はもう殆ど
なんの考えも思い浮かばないようで
ぼおっとした目をして
私を見たり、
怒った顔をした白海や
笑っている叔父を見たり
自分の手をつなげている縄を見たりしていた。
だので
「うん、お前は私のそばにいなさい」
と言ったら
笑っているんだか、泣いているんだか
変な顔で
ともかく確かにうなづいた。

二回ほどがんばってうなづいた後に
私は居ていいんですか、というから
いまさら何が言いたい、
私はお前に居てほしいんだよ、と言った
ついにぽろぽろと泣いてしまった。
まったく、恋と言うのは
手に負えない。
本当に自分でさえ手に負えないんだから
困ったものだ。

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