許されるなら―光根―



がしゃん。

がしゃん。

がしゃん。

ガラスが割れる、なんで俺、

なんで俺、泣けない、

なんで泣かない、

なんでこんな目にあってもまだ、泣かない

がしゃん。

がしゃん。

どんどんカーテンを開ける度、
光根はどんどん大きくなり、ガラスを破っていった

目がひりひりする

痛いよぅ

父さん

  
  
  父は俺に言った
  
  何を言われたか、覚えていないけれど
  
  俺は舞い上がって返事した
  

 「やっぱりお前が盗ったのか」
 
  差し出された手を、握り返すほど俺は舞い上げっていた
  
  叩き外されるまで分からなかった
  
  護衛がいっぱい出てきて、
  俺は取り押さえられた
  
 「ぬすっとが」


俺は舞い上がっていた

父さん


   「服を返さないならば、この城から出て行け」


父さん

光根

「ほら、ほら、もう元気出せよ、ほら、
どんどん破れ、はは、光お前ら大好きだもんな、
ごめんな」

ごめんな

「閉じ込めていて」

ごめんな


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