「あぢいなぁ」
「あぢいのぅ」

ざぐざぐ草を狩る。
この田んぼはすぐに草がぼーぼーんなる。

「ここ刈ったら握り飯くうべぇ」
「ぉぉー今日なんだべぇ」
「うめぼしだぁ」
「すっぱすっぱかぁ」
「すっぱすっぱうめぼしだぁ」

けたけた二人で笑いあって、
太陽を見上げてうーんと伸びをした。
まだまだ残暑が厳しいぜ。

ああ、腰が痛い。

ざぐざぐざぐ

草の匂いと太陽の匂い
ぶんぶんアブが飛ぶ

「あぢいいい…」
「…」

太郎が近づいてきてぺろりとほっぺを舐めた

「汗しょっべぇなぁ」
「なにしとーなぁ」

「好きじゃがよ」
「そーけぇ」

「…てれとおか?」
「…」
「あはッてれとおな、てれとおな、耳まっかじゃ」
「うっせうっせ、うめぼし食うべ」
「おう、すっぱすっぱじゃ、すっぱすっぱうめぼしじゃ」
「すっぱすっぱじゃぁ」

小声でオデも太郎が好きじゃがよ、囁いたら
ん?なんぞ言ったが!?と嬉しそうに振り返った。

「うっせ馬鹿」
「はて、好きじゃが聞こえたに」
「うっせ馬鹿」
「もいっぺんすっぱすっぱくわせんぞ、もういっぺん、なぁ」

「うっせ馬鹿




もう言わん」