玉
>>
絵
> 殿下
殿下
新春謹んでお慶び申し上げます
皆様のご多幸を
聞いているんですか、殿下、
ちょっと、何を見ているんですか
笹井が筆を滑らせながら、ちらちらと私を見上げ、
叱咤する
「梅が咲いている」
梅、って、殿下!
お逃げにならないでください、
年賀の挨拶は
どーのこーのと笹井がうるさい
可愛い唇がぴーよぴーよと喚いている
先の夜まで私の名を読んでいた唇だ
「梅はお前に似ている」
あのですね、殿下、これが終わらないとですね
「私の好きな花だ」
急に笹井が黙り込む、見るとハトが豆鉄砲を食らったような顔をして、
真っ赤になっていた
ば、馬鹿いわないで、さっさと
「どうした、顔が赤いぞ」
後ろに回りながら言う
はやく―…、年賀を
焦っているのか言葉が回っていない
笑ってしまう
覆いかぶさって手に手をとると、
全身がぎゅうっと緊張していた
「笹…、もう一回、したい」
笹の耳は赤く熱を持ち、咥えるとふるふる震えていた
SS付き
2006-01-01
18:24:35
... 前作品「初詣」へ
... 次作品「荒熱」へ
玉
>>
絵
> 殿下
Copyright © by mogiha(https://boys.ahito.com) All Rights Reserved.
皆様のご多幸を
聞いているんですか、殿下、
ちょっと、何を見ているんですか
笹井が筆を滑らせながら、ちらちらと私を見上げ、
叱咤する
「梅が咲いている」
梅、って、殿下!
お逃げにならないでください、
年賀の挨拶は
どーのこーのと笹井がうるさい
可愛い唇がぴーよぴーよと喚いている
先の夜まで私の名を読んでいた唇だ
「梅はお前に似ている」
あのですね、殿下、これが終わらないとですね
「私の好きな花だ」
急に笹井が黙り込む、見るとハトが豆鉄砲を食らったような顔をして、
真っ赤になっていた
ば、馬鹿いわないで、さっさと
「どうした、顔が赤いぞ」
後ろに回りながら言う
はやく―…、年賀を
焦っているのか言葉が回っていない
笑ってしまう
覆いかぶさって手に手をとると、
全身がぎゅうっと緊張していた
「笹…、もう一回、したい」
笹の耳は赤く熱を持ち、咥えるとふるふる震えていた