こちょばいさん

好きと嫌いはどう違うんだろうねーなんて話して
好きが好きなら嫌いも好きじゃないかしらん、なんて話して
新聞を読み続けている。
たたみに落ちた髪の毛が、扇形に広がって、
こっちから見るとパンツが丸見えだ、
僕が贈った虎縞ぱんつ。

曇りガラスにうつった姿が
なんだか蟹みたいでおかしい、

一緒に住んでから三日目、
もう既に、何十回とけんかしている
頑固だし、こっちだって頑固だし

こちょばい!といきなり叫んだ、
なんだと振り向いたら、
足をぐぐぐぐっとまげて

こちょばい!

こちょばい!

叫んでる。

「なんだよ」

足の裏こちょばい

「かけよ」

かいてぇー

やぁだ、と答えて、ガラスに向き直った、
曇りガラスはぼんやり、湯気、
光のつぶを映してる


す、き、


と書くと

いつの間にか起きていたこちょばいさんが
足の裏をこりこり掻きながら
それ、俺のことぅ?と嬉しそうに呟いた。