無題

「これが彼岸花か」

花見に行こうと言ったのは私。
無理やり誘った奴は、むすっとした顔で腰の剣を落ちつかなげに触っている。

「綺麗なものだな」

「服を着てください」

むす。

耳が少し赤いのは、私の気のせいか。

「暑い」

「嘘です」

「嘘ではない」

体操をしたから、暑いのだ。そう言うと
ちっと舌打ちして、そっぽを向いた。

「おまえは私が嫌いなのだな」

彼岸花。彼岸花ゆれる。別名曼珠沙華の花々が、寂しげに揺れている。
ここは現世か、それともあの世か。
寂しげなのに、どこかすざましい。

「父上が生きていたら、喜んだものを」

ぽつりと呟くと、

「嫌いではありません」

ずれた答えを返す。さっきより耳が赤いのは気のせいか?

「では憎いのか」

「憎いのではありません、

…もう、帰りましょう」

「いやだ」

「帰りましょう、もうすぐ日も暮れる」

「いやだ。」

「殿」

「接吻しろ」

ぎょっと、奴が私を見た、その目を嘲笑いながら見返し、そっと囁いた

「言うことを聞かせたかったら、接吻してみろ。」












彼は私を抱きしめながら、私をとても丁寧に扱った。



これから毎日接吻しろ、と言ったら、首まで赤くなっていた。気のせいか。