感情なんてなければいい

話すことは難しいです

どうも舌足らずで
うまく、話せなくて

 そう、言ったら笑って煙草の煙を吐き出した

無言の中でゆらゆら揺れる煙に
ぽつぽつ言葉が潜る

 貴方の子供になれてよかったと想うんです

 へぇ

 だって、あ、そ、の、 僕は貴方がだいすきですし

分からないけれど。目を伏せると、とても嬉しそうに煙を吐き出す

 ん…

 道端に薔薇が咲いていて

 

 赤くて

 …

いいよ。

不意に、目を細めて、心底幸せそうに笑って

ゆっくり喋りなさい、



遠くで、道端のおとと、声が混じった



聞いていてあげるから


少しハスキーに、

そう、言われて


苦しくなったから、唇を閉じた


捨てられた時の雨の冷たさ、人々の足音、
無音の視線、そんなものが押し寄せて、せりあがって

気づくと微かに目尻りが熱かった

彼はただ、ただ、



幸せそうに、煙草、吸ってた