I Like You ... So but ...

あまったるい歌手の音楽が、
とぎれとぎれに聞こえてくる。
マージは煙草を口の端でくわえて
すう、と吸った
「煙草やめなよ」

さっきっから降り出した夕立
ちらちらと煙草の火が、煙って見える

「やめたらなんかしてくれる?」
マージが面白そうに聞く、

俺のさ、好きなの知ってて
いつもからかうんだ。

キスしても、セックスしても
マージが本気なのか分からない。
いっつもふざけ半分で。

「フェラチオしてくれるならやめてもいいよ」
「いやだよそんなの」
「へぇ、やなんだ」
意外そうにマージが言った、
俺がマージが大好きで、どんなことでも聞くと思ってんだ
悔しいけど、それは半分あたってる。
結局マージの言う通り。従ってしまう俺がいる。

「……煙草やめろよ」
なんか切なくなって、マージから目をそらしていった。
どうせずっと『あそび』なつもりなんだ。

「好きだよ、ロス」

ふ、とマージが笑った。
温かい笑顔だった、びっくりした。
「な、なに言ってんだよ」
「ロス、俺のことあんま信じてない」
「……しんじて」
「るわけないわな、俺こんなだし」
マージが簡易灰皿に煙草をいれて、かちんとふたをした。
「ロスが俺のこと信じてくれるなら、
煙草やめてもいいよ」

「マージ」

微笑みながらマージが俺を引き寄せた。
口づけされながら、考えていた。
信じないわけ、ない、結局いつも

従ってしまうんだから。