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酔いの玉
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CG
> 煙草、屋上、はつこい
「あ
せんせい」
ぽーっと上を向いていた少年が
のぼってきた俺を見て微笑んだ、
泣きそうな顔をしている。
いつもの屋上。いつものさぼり少年。
どこか浮いている少年。
「どうしたぁ、煙草なんかふかして」
「吸ってないよ、煙吐いてるだけだよ」
「体に悪いぜぇ」
ひっひなんて笑いながら近づいて
自分も一本「ターラ」を取り出す。
ターラという名の小さな煙草。
すうっと煙が空に昇っていく。
夕暮れの、きったねぇ空。
「せんせい、
おれ失恋したよ」
「へ…」
「そっか」
ぽろ、と、柚子の目から涙が落ちた。
「失恋したんだ」
「今自分で言ったんだろう」
「わかんなかったんだよ、いままで」
煙草をぺっと吐き出して、
頭抱えて泣き出した。
どうしようもないし、
俺だって不器用だし、
こんな泣き方をする奴の
慰め方すら分からない、
ただ煙草をくゆらせながら、
黙ってみていた、
柚子が笑った、ぐじゃぐじゃの笑顔で。
し、つ、しつれんって。
そう言いながら。鼻水まででちゃって。
きったねぇなぁもう。
「ほれ」
ハンカチを放ると、それをちょっと見てから、
ブビーと鼻かんだ。おい。
「誰に失恋したんだ?」
「言いたくない」
「そうか」
ぷーっと煙のわっかを作る、
柚子が嬉しそうにそれを追う。
わかんねーんだろうな、
どう想っていいのかも。
どう感じていいのかも。
「失恋、初めてか」
「初恋だもん」
「そうか」
ぷはー。
屈んで靴裏で煙草を消す、
おいで、と言うと、柚子ははてなという顔をした。
「おいで。」
「なんで」
「きなさい。」
「はてな、なんで?」
「はてな、じゃねーよ、こいって」
もうっと言って、腕つかんで引き寄せた。
そのまま、倒れこんだ柚子を、ぎううっと、
力強く抱きしめる。
温かい柚子の匂い。
しゃんぷーなにつかってんだおまえ。
・・・・・・・。
いい匂いだな。いちごか?これ
・・・・・。
何黙ってんだよ。
上向いて、きもちい、と言った。
はへ、とか変な声が出た。
そうか。
「せんせいあったかい」
「そうかよ」
「あったかいなぁ」
そんでまた泣く。
ぽろぽろ、ぽろぽろ。
「だーれに失恋したんだって」
「言わないって言ってるでしょー」
「言えよぅ」
「言えないよ…」
「だれだよ」
「せんせい」
「ぽ」
後が続かない。ぽ?いや違う、
「おれお前ふってないぞ」
「彼女いるって言った」
「………『いた』って言ったんだが」
「彼女いるってことはーホモじゃないしー」
「『いた』んだってば…
馬鹿だな、お前」
あきれちまってもうあきれすぎて、
思わずぎゅうううっと握り締めてしまった、
ぎゅうっとか変な声出して。
「可愛いとは想っていたがここまでとは」
「…誰が?」
「おまえだよ、ばあか」
へこっとか変な音出しながら抵抗しようとしたので、
キスした。
普通に、ゆっくり。なぞるように。
唇の形が分かって、ドキドキした。
こんなキスハジメテ。
せんせいぃぃぃぃぃ。とか言いながら、
柚子が人の首にかじりつく。いてー。
「いてーって」
「へんへぇふき」
「ん?」
「せんせいすき」
一旦はなして、
またかじりつく。あのなぁ。
煙草やめろよ?ん?
口寂しかったら、俺がキスしてやるから。
2005-05-25
00:00:00
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せんせい」
ぽーっと上を向いていた少年が
のぼってきた俺を見て微笑んだ、
泣きそうな顔をしている。
いつもの屋上。いつものさぼり少年。
どこか浮いている少年。
「どうしたぁ、煙草なんかふかして」
「吸ってないよ、煙吐いてるだけだよ」
「体に悪いぜぇ」
ひっひなんて笑いながら近づいて
自分も一本「ターラ」を取り出す。
ターラという名の小さな煙草。
すうっと煙が空に昇っていく。
夕暮れの、きったねぇ空。
「せんせい、
おれ失恋したよ」
「へ…」
「そっか」
ぽろ、と、柚子の目から涙が落ちた。
「失恋したんだ」
「今自分で言ったんだろう」
「わかんなかったんだよ、いままで」
煙草をぺっと吐き出して、
頭抱えて泣き出した。
どうしようもないし、
俺だって不器用だし、
こんな泣き方をする奴の
慰め方すら分からない、
ただ煙草をくゆらせながら、
黙ってみていた、
柚子が笑った、ぐじゃぐじゃの笑顔で。
し、つ、しつれんって。
そう言いながら。鼻水まででちゃって。
きったねぇなぁもう。
「ほれ」
ハンカチを放ると、それをちょっと見てから、
ブビーと鼻かんだ。おい。
「誰に失恋したんだ?」
「言いたくない」
「そうか」
ぷーっと煙のわっかを作る、
柚子が嬉しそうにそれを追う。
わかんねーんだろうな、
どう想っていいのかも。
どう感じていいのかも。
「失恋、初めてか」
「初恋だもん」
「そうか」
ぷはー。
屈んで靴裏で煙草を消す、
おいで、と言うと、柚子ははてなという顔をした。
「おいで。」
「なんで」
「きなさい。」
「はてな、なんで?」
「はてな、じゃねーよ、こいって」
もうっと言って、腕つかんで引き寄せた。
そのまま、倒れこんだ柚子を、ぎううっと、
力強く抱きしめる。
温かい柚子の匂い。
しゃんぷーなにつかってんだおまえ。
・・・・・・・。
いい匂いだな。いちごか?これ
・・・・・。
何黙ってんだよ。
上向いて、きもちい、と言った。
はへ、とか変な声が出た。
そうか。
「せんせいあったかい」
「そうかよ」
「あったかいなぁ」
そんでまた泣く。
ぽろぽろ、ぽろぽろ。
「だーれに失恋したんだって」
「言わないって言ってるでしょー」
「言えよぅ」
「言えないよ…」
「だれだよ」
「せんせい」
「ぽ」
後が続かない。ぽ?いや違う、
「おれお前ふってないぞ」
「彼女いるって言った」
「………『いた』って言ったんだが」
「彼女いるってことはーホモじゃないしー」
「『いた』んだってば…
馬鹿だな、お前」
あきれちまってもうあきれすぎて、
思わずぎゅうううっと握り締めてしまった、
ぎゅうっとか変な声出して。
「可愛いとは想っていたがここまでとは」
「…誰が?」
「おまえだよ、ばあか」
へこっとか変な音出しながら抵抗しようとしたので、
キスした。
普通に、ゆっくり。なぞるように。
唇の形が分かって、ドキドキした。
こんなキスハジメテ。
せんせいぃぃぃぃぃ。とか言いながら、
柚子が人の首にかじりつく。いてー。
「いてーって」
「へんへぇふき」
「ん?」
「せんせいすき」
一旦はなして、
またかじりつく。あのなぁ。
煙草やめろよ?ん?
口寂しかったら、俺がキスしてやるから。