論詩

待て、論詩

焦るように私を包もうとする王を手で制して、
少し涼むだけだから、と笑った、

彼はおろおろと、しかし、と言う、
その唇を人差し指でつまむ

安心しろ



道を歩くと火照った体に風が心地よかった

私の体は子供が産めない

だから王の傍にはいられない―…

どんなに愛されても


論詩。


不意に後ろからぶつかるように抱きしめられた、
勢いで転がってそのまま彼の胸元にぎゅうっと押し付けられる


何をする、と怒ろうとしたら

あっけなく震えた声が返ってきた

行かないでくれ




行かないでくれ







頬に彼の震えが伝わってきて、
こんなに焦っている彼なんか、初めてだと、


そう想って、




どうしようもなく

どうしようもなく、



なんにも、できない