「にいちゃんこれー?これミミンガー?」
「ばっかちげーよ、ミミンガちげーよ」
「けんかすんなぁい」
「けんかしてねーよぃ、ミミンガちげーっていっただけよぃ」
「ミミンガこれー?」
「ばっかそれ、団子虫じゃねーかばっかちげーよ」
「お、あったあった」

夕原の狐は少し微笑む
あっちでは弟達がぎゃいのぎゃいの

「にいちゃん菊地さん喜んでくれるかなー」
「ばっか喜ぶに決まってるだろ、ミミンガだぞミミンガ」
「にいちゃんこれー?」
「ばっかちげーよそれちょうちょだよちょうちょ」
「うふふふ」

ミミンガが手の上でくるくる踊る
小さい弟の「これー?」という声がやんだ

「にいちゃんあれー?」
「ばっかちげーよ…」

見ると小弟(こてい)は空を見上げていた
空には真っ白な星が
ふたつひとつ、たくさんたくさん浮いていた

菊地さん、喜ぶゾゥ