「サイ……」

微かに声をかけると、
無心で僕の血を吸っていたサイが、
んふーと笑った。

ちんちん勃起してるね。

きもちいもん。

きもちいのかー。

サイが首筋を舐める。
その舌が動くたび、疼く甘さ。



空には銀色の星星が流れ、
サイの黒髪に光のように煌めいている。

サイがちんちんを握った。
あって声が出た、やめろよぅ。
セックスする?
んー、サイしたい?
どうかなぁ、
ちゅっちゅっちゅって、
首筋の痛みを吸われる。

僕は神父です。
この間神父になったばかりです。
サイはこの教会の
地下に閉じ込められた吸血鬼です。

歯が鋭くて、
目が優しくて、
声が愛しい。

そんな吸血鬼です。

5月になったから、
代が変わるねぇ。
変わるねぇ、生け贄が変わるねぇ。

僕じゃなくなるね。

サイが、ん、と起き上がった、
僕をじーっと見る目が
とても優しい、何年生きてきた?
何年閉じ込められた?
孤独を感じて、傷を負ってきたはずなのに
サイの瞳はどうして優しいんだろう。

「にがして」

サイが微笑む。
僕はうなずく。

ただ一度、この瞬間だけ、
サイが本心から言った、
この瞬間だけ、誓いがあった。

逃がしてあげる。必ず。

サイ。


さい


いままでずっといわなかったね、
ぼくをみたときただほほえんで
おびえていたぼくをだきしめて
こわがらないで、とそういった
サイ。

あの時から。


最後のようにサイを抱きしめた。
セックスしよう、そう言ったら
少し声が震えた、
サイは、ん、と言った。

いっしょにげたい。

泣きそうな声

初めて聞く声で、サイが言った。