大嫌い





「………………」


ちゅうっと甘ったるくキスして、
もう一回しじまをはぐする。
つまりだっこする。しじまのにおいはいいにおいだ。


「しーじま」

「なんだよぅ」

しじまがくすぐったがって、俺の胸にごしごしほっぺをすりつける。
あーあったけえ。

「あーそういや」

ふと気づいて、しじまのほっぺに口をつけて問う。

「伯父さんが聞いてたぜ」

「おじさんって、きょ、今日ポルノ持ってくるって、言ってたおっさん?」

「そうその変態なおっさん」

しじまが泣いてから、もう何週間もすぎた。
多分、俺たちはぴったりくっついてる。
どこが、ってわけじゃない、目に見えるわけでもないけれど、

もう、ぴったり、くっついてしまって、
離れられないんだ。しじまが、心に熔けてる。

しじまがくすくす笑う。可愛い。可愛い。可愛いー。

ちゅっちゅっちゅっと吸うと、くすぐったいーとまた笑う。
可愛いからいけないんだっつーの。

「なんかなぁ、財宝、探してんだって、しじま知ってる?」

「財宝?あ、あるわけ、ないだろ?
俺の親、借金してたんだ、ぞ?」

「そうだよなぁ……」

「あー一つだけ、宝物があったかなぁ……」

「宝もの?」

「それだあああああああああああああああああっ」

いきなりじじいが飛び込んできた。
外で様子をうかがっていたらしい。けり飛ばしてやりました。

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