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リーちゃん
川のせせらぎの音
この部屋まで聞こえるんだね
少し寝苦しい夜
ぽんこつな空調もうまく効かないし
布団はへたなぐあいに蒸し暑い
そんな夜
リーちゃんの吐息が小さく、聞こえた
「俺は本当に罪を犯したのかな」
僕にも、誰にも、聞きたいわけじゃないんだろう
呟くように、そう言った
闇に、川の音に
彼の声が紛れ込む
さらさらさら
さらさらさら
さらさらさら
きっと
そうじゃないよ、って言っても
そうだよって言っても
リーちゃんは納得しない
納得、しないだろう
あおぐらい天井をずっと見ていた
リーちゃんが微かに、
おやすみ、と呟いた
ちいさい濡れた声だった
あおぐらい天井は徐々に大きくなるようで
ただ、ずっと見ていた
蒸し暑いのに
布団をはぐと
寒いんだね
リーちゃんは
多分
自分が、嫌いなんだと
そう思う
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川のせせらぎの音
この部屋まで聞こえるんだね
少し寝苦しい夜
ぽんこつな空調もうまく効かないし
布団はへたなぐあいに蒸し暑い
そんな夜
リーちゃんの吐息が小さく、聞こえた
「俺は本当に罪を犯したのかな」
僕にも、誰にも、聞きたいわけじゃないんだろう
呟くように、そう言った
闇に、川の音に
彼の声が紛れ込む
さらさらさら
さらさらさら
さらさらさら
きっと
そうじゃないよ、って言っても
そうだよって言っても
リーちゃんは納得しない
納得、しないだろう
あおぐらい天井をずっと見ていた
リーちゃんが微かに、
おやすみ、と呟いた
ちいさい濡れた声だった
あおぐらい天井は徐々に大きくなるようで
ただ、ずっと見ていた
蒸し暑いのに
布団をはぐと
寒いんだね
リーちゃんは
多分
自分が、嫌いなんだと
そう思う