リーちゃん



深夜起きると、
リーちゃんがぼーっと
夜を見ていた

夜、朝が少しだけあけかけた
白い月

宿のいすに座って
ただぼーっと、鏡のような窓ガラスを見ていた

「僕はリーちゃんが好きだよ」

ぽつりと言うと、
大して驚いてもいないように
こっちを見て
それから静かに視線をそらせた

「でもリーちゃんは
リーちゃんが好きな人がほしくて
僕を好きになったみたいだ」

リーちゃんは身動き一つしない
聞こえているのか、いないのか
どっちでもいいやと、思って
そのまま起き上がってトイレに行った
夜の廊下はひたひたして
少し自分が情けなかった

なんで、リーちゃんに
優しく出来ないんだろう

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