いやもう参ったよせんセイずーっと渋い顔しててサァ、
ションベンもさせてくれねぇの、膀胱破裂しそうでいてぇの
いてぇって、まじで。だから俺せいせい、ちょっともらしていいですか
いうたらさぁ、なにいってんだおまえ、真剣にキイテンのか、いうの、
きいてるっつーのこっちだって真剣に膀胱が破裂しそうなんだっつーの
てめぇの話聞くために、しょうがねーからもらすっつってんじゃん
なのになんで逆切れするんだよあいつアホか、アホか。やっぱアホか。
それとも頭に烏のノー味噌でもつまっとんのかいな、あ、もしかして
「ノー」味噌か。味噌なしか。ノーってか。なぁちんちゃん。

人のことちんちゃんとか変な名前で呼ぶ友人の話は取り留めない。
延々と動く唇を黙ってみて、
頭の中ではこの子が漏らすところを想像してみたりする。
結構かわいいなぁ、あー俺変態。

ブワッ

友人が悲鳴をあげた。なんだ、といったら、
上からちめたいものが落ちてきたっと騒ぐ。

見上げると狂い桜。
先に降った雪が、桜に見える、それが水滴を垂らしてる。
蛍光灯のあかりで、不思議に輝いている。

冷たいのに。温かそうに。

「だいじょうぶ…」

泣きそうな顔をしているユボの頭を、
イイコいいこと撫でる。
「だいじょうぶ…」

それでもユボは機嫌がなおらなかった、
あんなに喋っていたのにむっつり黙り込んで、
ぽくぽく歩く。
んー。どうしたもんか。

「チンチャン」

振り返ったユボは、猫の目をしていた、悪戯を思いついた目。

「キスしよう」

「ハァ?」

「キス、くちとくちをあわせんの」

「…」

今度はこっちが黙り込む番だ、
ユボはてこてここっちに近づいて、

しってんゼ、机の引出しに、俺のパンツ隠してんだろ、
水泳の時なくなった奴。

「あー」

焦るなぁ、知ってたのか。

「チンチャン、変態だもんねぇ」

「そうだなぁ」

ぽりぽり頭を掻くと、うっと背伸びして、
ユボが俺の唇をかんだ。いて。

「チンチャン今度せっくすしよーぜ」
「あー」

なんか変な気分ダナァ…。

ユボの手をつなぎながら、二人並んで歩いた。
変な気分だ。

またユボが話し出す。

桜って雪積もっても咲くんだネェ、
ああありゃ雪か、すると桜は咲かないのかな
俺結構桜好きなんだけど一番好きなのはやっぱねこじゃらしかなぁ、
あれいいよねぇ、あとどくだみとかラフレシアとか、
チンチャン何が好き?俺どくだみ好き、あとさぁ、ハエ取るやつ、
あれなんつうの?なんかぽっこりしててはえとるやつ。あれも好き。
ハエ取る瞬間みてみてぇ。ああ、そういやハエっていえばさぁ、
まだハエでるのな、この間洗濯物してたらさぁ、

ユボ本気かなぁ。
ユボの話を聞きながら、ぼおっと考えていた、
頭の中でユボはすごいことになってる。

なにせ、ほら、俺は変態だからなぁ…。