クワイの森には、


鬼が住むと言う―――――――――――――――――――――――――…



もう何時間経っただろう、
冷たい滝にうたれ、
熱は徐々に失われていく。

しけった乾パンを齧り、
水筒に水を汲み、飲み込む。

やっと血が止まった足は、
白く色を失っている。



助けは来ないだろう。


ここまでか。
大晦日に、なんてことだ。
きっと、初日の出はおがめない。

ろくでもない人生だった。
最後までついてない。

ため息をついてあきらめかけた時、
ふと、現れた人影があった。







白く艶々とした肌、
くっきりと、鮮やかな赤で描かれた蛇―…




鬼…?いや、これは。


― EEAAA**b++EREGG?


不思議な言葉を彼は口にした。
そして私に近づいてくる。
少しの恐れで、後ずさると
なんでもない、というように、微笑んで首を振る。


― ・EEOPAGAB・・・AA,CCEDEG

そこに生えていたたけあるしなやかな葉っぱを取り、
私の足に巻きつける。

痛みが治まった。

…彼が、いっそ微笑んで、私をじっと見上げた。

―…EA-DTA,DE・・・DABAC

ぷっくりした唇が動くのを、
じっと見ていた。不思議な気持ちだった。

彼が私の隣に寝転ぶ。
何を考えているのだろう。

そっと私の胸に手を置いて、心音を確かめるように、
目を閉じる。

何を考えているのだろう。






…A・・DA・・・・


不思議と警戒心は沸かなかった。
彼のぬくもりに、冷え切っていた体が温まる

私はこの先彼に堕ちるのかも知れない。



ふと、そう思った。