誰かに嫌われたことがありますか。










Monkey is fighting while loving me.







これっきりでよすわ
すきですあなた。

歌いながら、サルタが石を蹴る。
サルタは嫌われた人間。
裸の人間。ぼろっきれを腰に巻き。
戦いのために狩りだされ
「人間」のために命を落とす猿。

いつの頃からか、
裸で暮らさなきゃやってらんないほど
熱くて、熱くて、
地球は熱くなって。

サルタの胸には一本傷がある。
ガンフチで、
人間のために狩りだされた「敵」―猿と戦った傷。

本当は戦いたくなんかなくて
誰も傷つけたくなんかなくて
狩られないように逃げるけど。
みんな、みんな、
「人間も」戦いたくなんかないこと分かってて、
戦いたくなんかないって言ってること、分かってて、
それでサルは捕まってしまうのだ。

サルタは時折歌を歌う、
胸の傷を。ゆっくり撫でながら。

この傷を持ってきたとき、
なきながらサルタは泣いた、
なきながらなくから、
しにたくないと泣くから、
どうしたい、なにがしたい、
どう生きたい、

そう聞いたら、

花を植えて暮らしたい。

熱にうなされそう言っていた。
生き返ったとき、ねえ、
俺はおどろくほど嬉しかったよ。
嬉しかったよ。

悲しいほど。愛しいほど。感謝するほど。

かみさま。どうかたたかいなんかなくして。

サルタ。

サルタ、それでも君は戦う。
何度も何度も。
何度も何度も。
サルタ。君は狩られる前に、戦っている。
サルタ。でも僕は君の戦いを止めさせたい。

人間に、人間を認めて欲しくて。
僕らを、認めて欲しくて。
サルタはずっと戦ってる。

僕を守るため。
僕を、愛してると。そう言いながら。
僕は彼を止めさせたい。
いっそ二人で死にたい。


サルタ。

キスをしよう、そう言ったら、笑っていた。
なんでだよー
なんでもだよー
キスしよう。

キスしよう。

サルタ、君を慰めたい。
君と一緒に、どこかへ逃げたい。
君を抱きしめたい。
君といたい。君に、生きつづけて欲しい。

戦いながら、泣きつづける人。



人間の戦いはこれで終りです。
ラヂオからのアナウンス。
そうだ戦いはきっと明日にでも終わるだろう。
やっと終りです。猿も人ももう傷つかなくていい。
ラヂオからのアナウンス。
誰かが歓喜と泣き声を上げてる。
サルタの唇感じながら。

サルタ、ああ、結婚しよう。
ぼくらふたり、人間とサルで、結婚しよう。

サルタ、花を植えて、暮らそう。

戦いが、明日終わると。
ラヂオががなりたててる。

サルタ。