危うさ

曇り空。藍の色。

抱きしめると、心音がぎゅうっと縮んだ、
息が出来なくて。悲しくて、愛しくて。

いいの

擦れた声で、佐々木が言う

いいんだ

見上げると、佐々木は空を見上げながら、目を閉じていた
まぶたに薄い光が落ちてる

いいんだ

匂いをかぐように、胸にうずめた
佐々木が、俺の背中に、
おずおずと、手を回し
ゆっくりさわさわ、

さわさわ

嗚呼、烏が空を飛び交い、雪の降るようなどんよりとした雲、
耳まで冷えて、千切れそうなのに
どうしてこんなに、熱いの

彼の言葉が、しこりのように、耳を逢瀬する

つれて逃げたい
だからついてきて欲しい、
それだけで、もう、いいから
なんもいらないから
充分だから

思わず胸に唇を押し当てると、

熱いよ

つぶやいた佐々木のあごに唇をはわせ、接吻した



冬のいちにちで、全てが終わって。

全てが始まった。

佐々木になら、殺されたって、いいから。