明日、海をこえ、山をこえ、
あの人のもとへと、嫁ぐ日

あの人は「少年」を求めた。
まだ年端もいかない、幼い少年を求めた。

私でいいのだろうか、
今でも不安になる。

―やけに早熟で
―人を見透かすような
―生意気な

王宮の人々の、小声のうわさ話を、
私は知っている。

「厄介払い」

父も、母も、私を持て余し、
この縁談に、ここぞとばかりに私を推した。
3人ほどもいる、年下の弟たちではなく―

あの人の接吻を思い出した、
あなたのような、美しい方と一緒になれることが、嬉しいと、
あの人は泣いた、
醜い方だと言われていた、
おでこに二本の角をはやし、
薄い銀の瞳。

でも私は恐ろしいとは、感じなかった。
ただあの人の、接吻、
温かな、やわからな口づけに、
私は感じた。初めての、愛しさと、快楽を。

「少年」をあの人は求めている。
「少年」でないと、あの人の呪いは解けない。

私でいいのだろうか、この、「早熟」な私で。
あの人は私を求めてくれた。

あの人のためなら、どんなことでもしよう、
どうぞ呪いよ、解けてください、
例え私が満たない「少年」であっても。

あの人と一つになった時、全てははっきりする。
怖いような、それでも待ちこがれるような、
そんな気持ちで、朝を待っている。