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酔いの玉
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CG
> 叔父さん
「さむぅー、なんでこんなとこ?叔父さん」
「おーおー可哀想に、マフちゃん、耳真っ赤じゃないか
叔父さんがあっためてあげよー」
そう言いながら、叔父さんは僕の耳を口に含んでちゅっちゅっと吸い出した。
冷たかった耳のはしっこが、
じんわり温かくなる。
「くすぐったいよぉ」
「可愛いなぁ、マフちゃんは、
ごめんな、叔父さん連れ出してな、ほら、マフちゃん、
こうすれば寒くないだろう」
まだまだしゃべりながら、叔父さんが僕を抱っこする。
風をよけるように。
ここはデパートの屋上。先ほどから降り出した小雨で、
灰色の寂れた景色がいっそう寂れてる。
角のちっぽけなアイスクリーム屋が、店じまいを始めた。
コアラと、パンダの乗り物があって、雨の水滴をはじいてる。
人影はあんまりない。
「叔父さん、いいよー僕好きで来たんだもの、
それより、なんでこんなとこ来たの?」
上目遣いに見上げると、おじさんがニコニコ笑いながら、
僕の唇にちゅうした。
こんなとこ、パパに見つかったらカンドウモノなんだ。
「マフちゃんとねー、あっこの景色見たかったの、
凄ーく綺麗だよ、すごーく、ね
マフちゃん、あっこいこう」
鉄の網で囲まれたところを指しながら、叔父さんが言う。
カンドウモノだってカンドウスルゾって何回も言われてんのに、
叔父さんは一向に懲りる気配がなく、
今日だって一張羅のセーターに「マフ命」なんてぬっちゃって、
バカなんだ、この叔父さん。おおばかさん。
「うー叔父さん、だっこぉ」
「はいはい、おお、重くなったなぁ」
お姫様抱っこで僕を抱き上げ、たったかたーなんて言いながら、
金網のところへ向かう。
叔父さんの胸は温かい。ちょっと寂しく思いながら、もたれかかって、
叔父さんの心音、聞こえるかな、と耳を澄ます。
目をつぶっていたら、おろされた。
「お姫様、めんめあけてくださいな」
そっと、叔父さんが僕のほっぺにちゅうする。
叔父さんの唇は温かくて、きもち、いい。
「叔父さん」
目を開けた時、少し潤んでしまった、
涙が滲んで。
「僕叔父さんだいすきだから」
ぎゅうっと叔父さんの手を握る。
じっと見上げると、
分かっているのかいないのか、
叔父さんは微笑んだまま、僕を見た。
「叔父さん、大好きだから」
「……俺もだよ、マフちゃん」
叔父さんがそっとかがんだ。
そおっと、優しく、宝物のように、僕にキスした。
叔父さんと、雨の中煙る、光る街を見た。
車が涙のように流れて、ちか、ちか、ひか、ひか、と光っていた、
窓ガラスに、雨の水滴が光るのを、
満ち足りた気持ちで見ていた。
海に沈んだ、波の合間の街のようで、綺麗だった。
叔父さんが僕を宝物のように扱うたびに
僕は心のそこが温まる、幸せで。
僕の肩に手を回して、そっと吐息をついた叔父さんを見上げる、
この優しげなハンサムな顔が、大好きだった。
誰に反対されても、カンドウされても、きっと、
叔父さんを、あいしてる。
2004-06-07
16:48:31
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「おーおー可哀想に、マフちゃん、耳真っ赤じゃないか
叔父さんがあっためてあげよー」
そう言いながら、叔父さんは僕の耳を口に含んでちゅっちゅっと吸い出した。
冷たかった耳のはしっこが、
じんわり温かくなる。
「くすぐったいよぉ」
「可愛いなぁ、マフちゃんは、
ごめんな、叔父さん連れ出してな、ほら、マフちゃん、
こうすれば寒くないだろう」
まだまだしゃべりながら、叔父さんが僕を抱っこする。
風をよけるように。
ここはデパートの屋上。先ほどから降り出した小雨で、
灰色の寂れた景色がいっそう寂れてる。
角のちっぽけなアイスクリーム屋が、店じまいを始めた。
コアラと、パンダの乗り物があって、雨の水滴をはじいてる。
人影はあんまりない。
「叔父さん、いいよー僕好きで来たんだもの、
それより、なんでこんなとこ来たの?」
上目遣いに見上げると、おじさんがニコニコ笑いながら、
僕の唇にちゅうした。
こんなとこ、パパに見つかったらカンドウモノなんだ。
「マフちゃんとねー、あっこの景色見たかったの、
凄ーく綺麗だよ、すごーく、ね
マフちゃん、あっこいこう」
鉄の網で囲まれたところを指しながら、叔父さんが言う。
カンドウモノだってカンドウスルゾって何回も言われてんのに、
叔父さんは一向に懲りる気配がなく、
今日だって一張羅のセーターに「マフ命」なんてぬっちゃって、
バカなんだ、この叔父さん。おおばかさん。
「うー叔父さん、だっこぉ」
「はいはい、おお、重くなったなぁ」
お姫様抱っこで僕を抱き上げ、たったかたーなんて言いながら、
金網のところへ向かう。
叔父さんの胸は温かい。ちょっと寂しく思いながら、もたれかかって、
叔父さんの心音、聞こえるかな、と耳を澄ます。
目をつぶっていたら、おろされた。
「お姫様、めんめあけてくださいな」
そっと、叔父さんが僕のほっぺにちゅうする。
叔父さんの唇は温かくて、きもち、いい。
「叔父さん」
目を開けた時、少し潤んでしまった、
涙が滲んで。
「僕叔父さんだいすきだから」
ぎゅうっと叔父さんの手を握る。
じっと見上げると、
分かっているのかいないのか、
叔父さんは微笑んだまま、僕を見た。
「叔父さん、大好きだから」
「……俺もだよ、マフちゃん」
叔父さんがそっとかがんだ。
そおっと、優しく、宝物のように、僕にキスした。
叔父さんと、雨の中煙る、光る街を見た。
車が涙のように流れて、ちか、ちか、ひか、ひか、と光っていた、
窓ガラスに、雨の水滴が光るのを、
満ち足りた気持ちで見ていた。
海に沈んだ、波の合間の街のようで、綺麗だった。
叔父さんが僕を宝物のように扱うたびに
僕は心のそこが温まる、幸せで。
僕の肩に手を回して、そっと吐息をついた叔父さんを見上げる、
この優しげなハンサムな顔が、大好きだった。
誰に反対されても、カンドウされても、きっと、
叔父さんを、あいしてる。