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2004
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つきあかり、あのひ、なみだ
誰をも好きだから~悠に~
セックスは好きだった
これは季志の話
悠にせめられながら、喘ぎながら、
とぎれとぎれに、季志が言う
「ゆう……しゅん……のこと…っ
すき……だろっ」
「な……?」
動きながら、悠が快楽と疑問の目をした
「おれも……、おまえら……大好き」
「季志……」
ちゅっちゅっと、悠が季志のほほに接吻する
「ゆう……、もう」
俺は抱かなくていい
言おうとして、悠が急に動くから、言えない
季志がなぜ闇虫に憑かれたのか、
なぜ何もしていないのに、こんなにも広がったのか、
そして今、なおかつ浸食されているのか、
季志も、悠も、分からなかった
季志は自分の人生に満足していた
不満があっても、それを幸運に変えることができる自分が好きだったし、
周りにいる人間の、その誰をも愛していた
照れくさくて、絶対に言えないけれど。
闇虫に憑かれるはずがない。
そんな人生だった
それが今、信じられないことに、
彼を浸食する愚鈍な虫のせいで、死に向かっている
「ゆう……っ悠……!!」
「季志っはっ季志っ……」
「しあわせにっっなれっおまえはっ……」
「季志……あっう」
「悠……絶対……」
言葉は闇虫の鳴き声に、かきけされた
悠や、あの悲しい目をした春、
幸せに、なってほしかった
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セックスは好きだった
これは季志の話
悠にせめられながら、喘ぎながら、
とぎれとぎれに、季志が言う
「ゆう……しゅん……のこと…っ
すき……だろっ」
「な……?」
動きながら、悠が快楽と疑問の目をした
「おれも……、おまえら……大好き」
「季志……」
ちゅっちゅっと、悠が季志のほほに接吻する
「ゆう……、もう」
俺は抱かなくていい
言おうとして、悠が急に動くから、言えない
季志がなぜ闇虫に憑かれたのか、
なぜ何もしていないのに、こんなにも広がったのか、
そして今、なおかつ浸食されているのか、
季志も、悠も、分からなかった
季志は自分の人生に満足していた
不満があっても、それを幸運に変えることができる自分が好きだったし、
周りにいる人間の、その誰をも愛していた
照れくさくて、絶対に言えないけれど。
闇虫に憑かれるはずがない。
そんな人生だった
それが今、信じられないことに、
彼を浸食する愚鈍な虫のせいで、死に向かっている
「ゆう……っ悠……!!」
「季志っはっ季志っ……」
「しあわせにっっなれっおまえはっ……」
「季志……あっう」
「悠……絶対……」
言葉は闇虫の鳴き声に、かきけされた
悠や、あの悲しい目をした春、
幸せに、なってほしかった