許されるなら―光根―



―王は―父は
母が他の男の子を身ごもった時、
母におろせ、と言ったらしい
いろいろな人が、そう教えてくれた
何度も、何度も。
それを俺に言いながら、笑っていた


あんたぁ、いらない子なんだよ

父に、愛されたかった

ここにいていいと、言われたかった

和衛を殺した

心の中で
何度も

何度も

和衛を憎んだ

和衛さえ居なければ、俺が愛されるのに

馬鹿な考え、
馬鹿な想い

光根の研究、決して実らない研究を
父がくれたとき、嬉しかった

例え、牢獄でも、嬉しかった

和衛の胸倉を掴みながら、
俺は、何か、叫んでいた
気づいたら

「お前を殺したい」

叫んでいた

なんで、追って、来たんだ

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