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2004
> つきあかり、あのひ、なみだ
つきあかり、あのひ、なみだ
癒し~春~
22時
遅めの夕食をとって
風呂に入った
悠は食事の後片付けをしている
季志は、少し眠る、と言っていた
春は湯船に肩までたっぷりとつかりながら
ほっとため息をついた
発作はまだ起こっていない
もしかしたら、もしかしたら、大丈夫だったのかもしれない
そんなわけはないと思いつつ、春はかすかな希望にしがみつく
僕のそういうやり方が間違っていて、
闇虫は快楽を覚えずに、広がっただけなのかもしれない
だったら、……そしたら
寒い空気の中に、湯気が柔らかく流れる
扉がきしっと揺れた
ぼちゃんと、春は湯船に隠れる
「すまん、ちょっと、顔を洗わせてくれ、
汚れた、みたいだ」
悠の声だ
曇りガラスの向こう、
悠のあごに白いものがついているように見える
「季志に言われたんだが、よくわからない
鏡、こっちにあるから」
「ああ……」
春は微笑んで、うなづいた
「僕隠れてるから……、
入ってきていいよ」
そっとタオルで、闇虫が見えないように隠す
「すまん」
がらがらと悠が入ってくる
「洗っていたらはねられた」
「あ」
悠のほほからあごにかけてべったり、泡がついていた
どうやったらそんなにはねるのか
春はおかしくてくすくす笑った
あんまり春を見ないようにしながら
悠は洗面台に向かう
なんだかほんのり赤らんでいるようだ
鏡を見て、ちょっと目をまるくする
「すごいついてるな」
「サンタさんみたい」
ころころと春は笑う
「おかしいか?」
悠が、春の大好きな笑顔で、目配せをした
発作は突然だった
急激に、そこに熱が集まって、闇虫がぎぃぎぃと騒いだ
悠にこすって欲しい、
手を使って、季志にしているみたいに
「はっ」
真っ赤になって、春はそこを押さえた
気づいてないのか、悠が顔を洗いながら
春に話しかける
「さっき、どうしたんだ?」
「……」
(どうしよう……どうしよう)
「元気なかったみたいだが」
ぱっと悠が振り返った
春と目がぱちっとあった
さっと春は目をそらした
悠を襲ってしまいそうだった
余計高ぶって
押さえても、押さえても、そこがずきずきと押し上げる
痛くて、痛くて、みじめだった
「春……?」
悠が近づいて、春を覗き込んだ
春が声を出す
「こっ……こないでっ……」
かすれた声だった
そこに集中していて、力がでない
今こそ自分が嫌になったことは無い
ここから逃げ出したいと願った
「春……」
悠が、そこを覗き込んだ
春は目をつぶって、荒い息を吐いた
悠の吐息や、体の仕草が、全部意識に触れる
抱きしめて、キスをしたかった
ああ、闇虫がばれてしまった、
上辺の意識で、そう考えた
「……可哀想に……」
状況をさっした悠が、
湯船に手を入れて、そこを触った
「………………!!!!!!!!!」
ぎいぃいっと、春が叫ぶかわりに、闇虫が騒いだ
悠の腕に、もっともっと、というように、絡み付く
「春、こっちあがれるか?
もう動けないか?」
「はっはひっ……はひっ」
もう春は、悠の言葉なぞ、聞いていなかった
自分で自分自身を夢中でこすりあげながら、
快楽の波に悶え、飲み込まれていた
闇虫が、うれしそうに蠢いている
頭のすみっこで、それがわかる
悠はどこに行ったのだろう
こんな春にあきれて、軽蔑しきって、行ってしまったに違いない
涙がぽろり、ぽろりと流れた
快楽と、どうしようもないみじめさで
「ううっうう」
「春」
見上げると、上半身の服を脱いだ悠が立っていた
闇虫がぎゃあぎゃあと蠢く、
熱はもう、いやというほど高まって
自分が何を考えているのか、
悠が何をしているのか、分からない
「はっはっ」
「春、ちょっとわるい」
表情を崩さず、軽い調子で悠が言って、
風呂の中の春を、両手で支え上げた
「あっいいっ」
びくん、びくんと春の体が反応する
悠に触られただけで、いってしまいそうだった
「今すぐ、楽にしてやるから……」
ぼおっと、春が悠を見上げると
なんだか悠は、優しい顔をしていた
いつものむすっとした顔なのに、
なんだか優しいような気がした
抱え上げられながら
春は悠の心音を聞く
悠の素肌に、ほほがくっついていて
それを理解できるほど、冷静ではないけれど
なにか暖かいと、思った
そっと、春をタイルの上におろすと、
すぐに悠はそこをしごきはじめた
春の体が、びくびくっと、跳ね上がった
「あああっああうっううっ」
「……」
「はひっああひっひっ」
「……」
春は夢中で気がつかなかったけれど
悶える春の様子を見ながら、悠は切ない目をしていた
愛しさと、苦しさと、悲しさがない交ぜになったような、
そんな目をしていた
悠の手の中で、春のものがびくびくする
悠がぎゅうっと強く握ると、春が涙を流していやいやをするように首を振った
春の闇虫が、悠の手のひらを愛撫するように流れる
春の手が、悠を求めるようにさしだされた
かりりっと、悠がそれをひっかいた
「はひっいいいいっいぐっうううぅ」
どくん、どくんっと、春は弓なりになってそこから欲望を吐き出した
悠の手を染めて、びゅっびゅと流れ出た
春の白い肌が、桃色に染まる
光る汗が、じっとりと浮き出ていた
「……」
悠がシャワーを出して、ぐったりしている春を支えながら、
そこにあてる。
どろどろした欲望が、お湯に乗って流れ落ちる
「……は……ああう」
春のものは、まだ起立したままだった
それこそ、何も終わっていないかのように。
闇虫が騒ぎ、悠の手のひらと流れ落ちるお湯に、
絡み付く。
「春……、まだ、おっきいまんまだ」
「は……
はひ……ご、ごめんなざい……はひ」
春の顔を、涙と鼻水がぐちゃぐちゃにしていく
それを見て、ちゅっと、悠は春のほほを吸った
「泣かなくていいよ、よくなるまで、してあげよう」
それから何十分経っただろう、
悠はそれをずっとしごいていた
もう2回、春は吐き出した
体中にうみのような熱がたまっている
何度吐き出しても、それが冷めない
「あうっううっう」
「春……しゅん」
甘い声で、悠がささやく
その声を聞くたびに、快楽がまた舞い戻る
「春……足、広げて」
「っひっいっご、ごめんなさいっ」
「怒ってるんじゃないよ……、
大丈夫、うん、これぐらい」
言いながら、悠がふとももを撫でる
あまりの快楽に、春は頭がくらくらした
目の奥がちかちかして、
体が言うことを聞かないほど疲れているのに、
まだ、むさぼりたい
「………………!!!!」
止める間も無かった、
悠が、春のそこを口に含んだ
口の中の生暖かい感触と、
蠢く舌に、春は一気に達した
それをごくごくと飲み込んで、少し悠が、咳き込む
「ごめっごめんならいっごめんならいっ」
わけがわからず、春が泣き叫ぶ
くすっと悠が笑った。春の好きなあの顔で。
春の頭を、愛しそうに撫でると、
またそこを舌でもてあそびだした
「あっあああああうっううあああああっ
だめっらめっらめっ
ちんちんっとけちゃうううう」
「しゅん……かあいい……」
「とけるっあはっはあっああいいっとけるっ」
歯で、悠がごしごしとそこをなぶる、
痛みと強い刺激に、
春は意識が遠くなった
また、出した気がする
その瞬間、春の意識はもうそこには
いなかった目が、さめるとベッドの中だった
あの熱はどこにいってしまったのか
冷たいシーツの感触と、さらさらした衣擦れの音
自分の部屋だ
雨が、また一段と強く、降り注いでいるようだ
春はもう一度目を閉じて、呼吸をした
そのほほを、誰かが触った
ばっと起き上がる
悠だった
隣に、ごろんと横になって、春の顔を見上げている
とたんに、自分が何をしたのか、何をしていたのか
思い出して泣きそうになる
「ご、ごめんなさい」
「……」
悠が無言で首を振る
その目を見て、春は気がついた
この人は、こんなに優しい目をしていたのか
ずっと、今まで?
なんだかとろけるような、温かな目だった
「体、大丈夫か?」
その目に似合ったトーンで、悠が聞く
春はいっぱいうなづいた
ほほが真っ赤になっている
恥ずかしくて、消えてしまいそうだった
「闇虫、これからが大変だぞ……」
「……これから……」
「俺も結構調べたんだが、
直す手段とか、ただ一つ……
難しい手段だ。」
ごそごそと、悠が懐を探って
ふっと微笑んだ
やっぱりこの人の微笑みは、あでやかだ
心に水滴が落ちるように、想いが落ちる
「これ……」
悠が出したのは、銀色の水の詰まったカプセルだった
悠が揺らすと、中水がちゃぷんちゃぷんと揺れる
「発作が起きたとき飲め、
小さな発作なら、収まる
淫魔の心、ってやつだ」
聞いたことがある、
かなり高価な薬だ
常任が飲むと、性欲を促進させ、
闇人が飲むと、その快楽を解放させる
淫魔と呼ばれる、魔界の人間が、
愛を奏でるとき、流れ落ちる涙、
それに含まれる感情が豊かであればあるほど、
効力が高い薬となる
「それでも収まらなかったら」
こんな高価なものを、もらっていいのだろうか
躊躇している春の手に、それを無理矢理握らせて、
悠は言う
「俺を呼べ。
今日ぐらいのことなら、してやる」
かああっっと、ほほが熱くなった
目が潤む
悲しいからではなく、
あの時の快楽を思い出して、体が反応したのだ
「いいの……?」
「ああ」
「ごめん」
「あやまるな…」
そっと、悠が起き上がって、春の肩を抱きしめた
「あやまるな……、お前はなんも、悪くないから」
「ん……」
いいこいいこと、悠は春の頭を撫でた
なんだか泣きそうになった
悠があんまり、優しいから
泣きそうだった
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22時
遅めの夕食をとって
風呂に入った
悠は食事の後片付けをしている
季志は、少し眠る、と言っていた
春は湯船に肩までたっぷりとつかりながら
ほっとため息をついた
発作はまだ起こっていない
もしかしたら、もしかしたら、大丈夫だったのかもしれない
そんなわけはないと思いつつ、春はかすかな希望にしがみつく
僕のそういうやり方が間違っていて、
闇虫は快楽を覚えずに、広がっただけなのかもしれない
だったら、……そしたら
寒い空気の中に、湯気が柔らかく流れる
扉がきしっと揺れた
ぼちゃんと、春は湯船に隠れる
「すまん、ちょっと、顔を洗わせてくれ、
汚れた、みたいだ」
悠の声だ
曇りガラスの向こう、
悠のあごに白いものがついているように見える
「季志に言われたんだが、よくわからない
鏡、こっちにあるから」
「ああ……」
春は微笑んで、うなづいた
「僕隠れてるから……、
入ってきていいよ」
そっとタオルで、闇虫が見えないように隠す
「すまん」
がらがらと悠が入ってくる
「洗っていたらはねられた」
「あ」
悠のほほからあごにかけてべったり、泡がついていた
どうやったらそんなにはねるのか
春はおかしくてくすくす笑った
あんまり春を見ないようにしながら
悠は洗面台に向かう
なんだかほんのり赤らんでいるようだ
鏡を見て、ちょっと目をまるくする
「すごいついてるな」
「サンタさんみたい」
ころころと春は笑う
「おかしいか?」
悠が、春の大好きな笑顔で、目配せをした
発作は突然だった
急激に、そこに熱が集まって、闇虫がぎぃぎぃと騒いだ
悠にこすって欲しい、
手を使って、季志にしているみたいに
「はっ」
真っ赤になって、春はそこを押さえた
気づいてないのか、悠が顔を洗いながら
春に話しかける
「さっき、どうしたんだ?」
「……」
(どうしよう……どうしよう)
「元気なかったみたいだが」
ぱっと悠が振り返った
春と目がぱちっとあった
さっと春は目をそらした
悠を襲ってしまいそうだった
余計高ぶって
押さえても、押さえても、そこがずきずきと押し上げる
痛くて、痛くて、みじめだった
「春……?」
悠が近づいて、春を覗き込んだ
春が声を出す
「こっ……こないでっ……」
かすれた声だった
そこに集中していて、力がでない
今こそ自分が嫌になったことは無い
ここから逃げ出したいと願った
「春……」
悠が、そこを覗き込んだ
春は目をつぶって、荒い息を吐いた
悠の吐息や、体の仕草が、全部意識に触れる
抱きしめて、キスをしたかった
ああ、闇虫がばれてしまった、
上辺の意識で、そう考えた
「……可哀想に……」
状況をさっした悠が、
湯船に手を入れて、そこを触った
「………………!!!!!!!!!」
ぎいぃいっと、春が叫ぶかわりに、闇虫が騒いだ
悠の腕に、もっともっと、というように、絡み付く
「春、こっちあがれるか?
もう動けないか?」
「はっはひっ……はひっ」
もう春は、悠の言葉なぞ、聞いていなかった
自分で自分自身を夢中でこすりあげながら、
快楽の波に悶え、飲み込まれていた
闇虫が、うれしそうに蠢いている
頭のすみっこで、それがわかる
悠はどこに行ったのだろう
こんな春にあきれて、軽蔑しきって、行ってしまったに違いない
涙がぽろり、ぽろりと流れた
快楽と、どうしようもないみじめさで
「ううっうう」
「春」
見上げると、上半身の服を脱いだ悠が立っていた
闇虫がぎゃあぎゃあと蠢く、
熱はもう、いやというほど高まって
自分が何を考えているのか、
悠が何をしているのか、分からない
「はっはっ」
「春、ちょっとわるい」
表情を崩さず、軽い調子で悠が言って、
風呂の中の春を、両手で支え上げた
「あっいいっ」
びくん、びくんと春の体が反応する
悠に触られただけで、いってしまいそうだった
「今すぐ、楽にしてやるから……」
ぼおっと、春が悠を見上げると
なんだか悠は、優しい顔をしていた
いつものむすっとした顔なのに、
なんだか優しいような気がした
抱え上げられながら
春は悠の心音を聞く
悠の素肌に、ほほがくっついていて
それを理解できるほど、冷静ではないけれど
なにか暖かいと、思った
そっと、春をタイルの上におろすと、
すぐに悠はそこをしごきはじめた
春の体が、びくびくっと、跳ね上がった
「あああっああうっううっ」
「……」
「はひっああひっひっ」
「……」
春は夢中で気がつかなかったけれど
悶える春の様子を見ながら、悠は切ない目をしていた
愛しさと、苦しさと、悲しさがない交ぜになったような、
そんな目をしていた
悠の手の中で、春のものがびくびくする
悠がぎゅうっと強く握ると、春が涙を流していやいやをするように首を振った
春の闇虫が、悠の手のひらを愛撫するように流れる
春の手が、悠を求めるようにさしだされた
かりりっと、悠がそれをひっかいた
「はひっいいいいっいぐっうううぅ」
どくん、どくんっと、春は弓なりになってそこから欲望を吐き出した
悠の手を染めて、びゅっびゅと流れ出た
春の白い肌が、桃色に染まる
光る汗が、じっとりと浮き出ていた
「……」
悠がシャワーを出して、ぐったりしている春を支えながら、
そこにあてる。
どろどろした欲望が、お湯に乗って流れ落ちる
「……は……ああう」
春のものは、まだ起立したままだった
それこそ、何も終わっていないかのように。
闇虫が騒ぎ、悠の手のひらと流れ落ちるお湯に、
絡み付く。
「春……、まだ、おっきいまんまだ」
「は……
はひ……ご、ごめんなざい……はひ」
春の顔を、涙と鼻水がぐちゃぐちゃにしていく
それを見て、ちゅっと、悠は春のほほを吸った
「泣かなくていいよ、よくなるまで、してあげよう」
それから何十分経っただろう、
悠はそれをずっとしごいていた
もう2回、春は吐き出した
体中にうみのような熱がたまっている
何度吐き出しても、それが冷めない
「あうっううっう」
「春……しゅん」
甘い声で、悠がささやく
その声を聞くたびに、快楽がまた舞い戻る
「春……足、広げて」
「っひっいっご、ごめんなさいっ」
「怒ってるんじゃないよ……、
大丈夫、うん、これぐらい」
言いながら、悠がふとももを撫でる
あまりの快楽に、春は頭がくらくらした
目の奥がちかちかして、
体が言うことを聞かないほど疲れているのに、
まだ、むさぼりたい
「………………!!!!」
止める間も無かった、
悠が、春のそこを口に含んだ
口の中の生暖かい感触と、
蠢く舌に、春は一気に達した
それをごくごくと飲み込んで、少し悠が、咳き込む
「ごめっごめんならいっごめんならいっ」
わけがわからず、春が泣き叫ぶ
くすっと悠が笑った。春の好きなあの顔で。
春の頭を、愛しそうに撫でると、
またそこを舌でもてあそびだした
「あっあああああうっううあああああっ
だめっらめっらめっ
ちんちんっとけちゃうううう」
「しゅん……かあいい……」
「とけるっあはっはあっああいいっとけるっ」
歯で、悠がごしごしとそこをなぶる、
痛みと強い刺激に、
春は意識が遠くなった
また、出した気がする
その瞬間、春の意識はもうそこには
いなかった目が、さめるとベッドの中だった
あの熱はどこにいってしまったのか
冷たいシーツの感触と、さらさらした衣擦れの音
自分の部屋だ
雨が、また一段と強く、降り注いでいるようだ
春はもう一度目を閉じて、呼吸をした
そのほほを、誰かが触った
ばっと起き上がる
悠だった
隣に、ごろんと横になって、春の顔を見上げている
とたんに、自分が何をしたのか、何をしていたのか
思い出して泣きそうになる
「ご、ごめんなさい」
「……」
悠が無言で首を振る
その目を見て、春は気がついた
この人は、こんなに優しい目をしていたのか
ずっと、今まで?
なんだかとろけるような、温かな目だった
「体、大丈夫か?」
その目に似合ったトーンで、悠が聞く
春はいっぱいうなづいた
ほほが真っ赤になっている
恥ずかしくて、消えてしまいそうだった
「闇虫、これからが大変だぞ……」
「……これから……」
「俺も結構調べたんだが、
直す手段とか、ただ一つ……
難しい手段だ。」
ごそごそと、悠が懐を探って
ふっと微笑んだ
やっぱりこの人の微笑みは、あでやかだ
心に水滴が落ちるように、想いが落ちる
「これ……」
悠が出したのは、銀色の水の詰まったカプセルだった
悠が揺らすと、中水がちゃぷんちゃぷんと揺れる
「発作が起きたとき飲め、
小さな発作なら、収まる
淫魔の心、ってやつだ」
聞いたことがある、
かなり高価な薬だ
常任が飲むと、性欲を促進させ、
闇人が飲むと、その快楽を解放させる
淫魔と呼ばれる、魔界の人間が、
愛を奏でるとき、流れ落ちる涙、
それに含まれる感情が豊かであればあるほど、
効力が高い薬となる
「それでも収まらなかったら」
こんな高価なものを、もらっていいのだろうか
躊躇している春の手に、それを無理矢理握らせて、
悠は言う
「俺を呼べ。
今日ぐらいのことなら、してやる」
かああっっと、ほほが熱くなった
目が潤む
悲しいからではなく、
あの時の快楽を思い出して、体が反応したのだ
「いいの……?」
「ああ」
「ごめん」
「あやまるな…」
そっと、悠が起き上がって、春の肩を抱きしめた
「あやまるな……、お前はなんも、悪くないから」
「ん……」
いいこいいこと、悠は春の頭を撫でた
なんだか泣きそうになった
悠があんまり、優しいから
泣きそうだった